宮城県仙台市 O様邸
仙台市を見下ろす高台に建つ景色の良い立地です。南向きで陽当りがよく、また風通しも良いため夏でも冬でも快適に過ごせるお宅です。
お施主様のご要望で木製玄関ドアやトリプルガラスの木製サッシを採用、更に太陽光発電と太陽集熱を設置した省エネ住宅です。
敷地面積 | 294.67㎡ |
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建築面積 | 115.83㎡ |
延床面積 | 130.01㎡(39.3坪) |
規模 | 木造2階建 |
家族構成 | 1世帯4名 |
施工 | 2014年2月 |
その他 | ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業 |
新築に際してお施主様は使用する建材の選定にこだわりました。
職業柄、様々な建材と接して全国を飛び回るため、「自分が家を建てるときはこれを使いたい」というものを温めていたそうです。
それが弊社で採用していた太陽集熱パネルや木製サッシ、木製玄関ドアなどと一致し、今回新築のご依頼を頂きました。
外壁は国産木材を使用。塗装はお施主様自らが行いました。
塗装に使った塗料は水性の自然塗料で、木材の表面を少しだけ酸化させて長持ちさせます。
また、サイディングは、すのこ状に間隔を広めにすることで風通しを良くし、湿気が溜まらないよう、長持ちの工夫をしています。
2階屋根には太陽光発電パネル、2階のベランダには太陽集熱パネルを設置しています。
写真左は2階のベランダに設置した太陽集熱パネルです。
屋外に設置した太陽集熱パネルを通じて、太陽光の力でお湯を作る自然エネルギーを利用したエコシステムです。建物南側は道路があり、建物や木などの陽を遮るものが無いため、太陽熱だけで冬でもお湯が50度程まで温まります。
このお湯をお宅の中の暖房に利用しています。
玄関を入るとリビングです。とても広く、開放的なリビングになっています。
窓には断熱性能に数れたトリプルガラスの木製サッシを採用、陽当りがとても良いため冬でも暑いくらいになるそうです。
床は無垢材を使用、壁紙はオガファーザーの紙でできた壁紙を使っています。
キッチンは奥様のご希望で赤色にしました。対面キッチンになっており、窓を通して家の前を通る車が見えます。
床はコルクタイルで仕上げしています。
2階フリースペースにはご主人様や奥様のお仕事用のスペース。
とても広いのでお子様の遊び場にもなり、洗濯物を干すこともできます。
将来的にお子様が成長した時には仕切りを付けて子供用の寝室にすることも検討しているそうです。
2階は一部を格子床にして陽が1階まで差し込むようにしています。ここからベランダに出ることもできます。
こちらは格子床の通路を通ってロフト部分への階段です。
必要な時にハシゴを付けて登るタイプのロフトが多い中、荷物の出し入れが多いと大変だろうとのお施主様のご要望で階段を付けました。
主に物置として利用する予定でしたが、お子様たちの格好の遊び場にもなっているとのことです。
2階のベランダからは仙台市内が一望でき、夜景がとてもきれいに見えます。
白い漆喰の塗壁はお施主様のご要望でした。漆喰は正しく使えばとても長持ちします。また、年月とともに経年美も愉しむことができます。
1階の機械室には換気システムや温水を貯める貯湯タンク、ヒートポンプなどをを置いています。
2階ベランダに設置した太陽集熱パネルで暖められたお湯は、機械室に設置された貯湯タンクに貯められ暖房に使われます。
こちらのお宅では第一種換気システムを設置しました。
第一種換気システムは、排気する空気と給気する空気の間で熱交換を行います。冬の場合、家の中が22度程度であれば、氷点下5度の外気が16度程度に暖められて家の中に給気されます。温度と一緒に湿度も交換しますので、熱も湿度も一定に保つことができます。
システムのメンテナンスは半年に1回程度、金属素子に付着したホコリなどを掃除機で吸い取るだけです。また、フィルタは中に2枚設置されており、半年~1年に1回程度交換を行います。
お施主様が暮らし始めてから約2年経過した頃、暮らし心地などをO様へインタビューしました。
使う素材と住宅性能にこだわりました。
仕事で建築系の素材を扱っているので、自分の家を建てるときに使う素材についてはアイディアを持っていました。木製の外壁や塗壁などのバランスはリクエストさせてもらいました。また、住宅性能については、玄関ドアやサッシを使う他、性能や快適さに関する実験をしたかったので設置する機材なども事前に調べてお願いしました。
ほぼ家内が決めました。
クラフト・ハウスさんの内覧会を何度か見学させて頂いていたのでそれらを参考にして間取りを決め、クラフト・ハウスさんでたたき台を作って頂き、その後2,3回の細かな修正を加えて完成、という流れでした。
私が要望したのは換気システムや貯湯タンクを設置する機械室、ロフトの階段くらいです。
快適さは予想以上でした。
建てる前は半信半疑だった家内も、実際に生活してみてその快適さに納得しています。
仙台の冬は、雪はあまり降らないものの、一番寒いシーズンでも朝晩は0度前後、日中でも5,6度くらいにしかなりません。
しかし、住宅性能が高く陽当りが良いお陰で、家の中は冬でも常に23度以上になります。
晴れていると暑くなるほどなので、外出する際はカーテンを閉めて遮蔽することもあります。
日中はこのようにとても暖かいので、パネルヒーターの電源は切っています。深夜のみタイマーで自動稼働させていますが、設定温度は低めに設定しています。
夏は風通しが良いので窓を開けて風の通気をさせ、一番暑いシーズンはHRCパネル(パネルに冷水を循環させて冷房する仕組み)で涼しくさせています。
HRCは温度と湿度の調整が非常に難しく、且つ冷えすぎると身体の水分まで奪ってしまう恐れがあるため、使い方に工夫が必要だということが分かりました。
1階リビングが広いので、室内にも関わらず子どもたちがサッカーをしたり野球をしたりしています。
2階のロフトがお気に入りのようで、友達が遊びに来るとロフトで遊んでいます。
平均すると月約1万円程です。
太陽光発電を設置していますが売却益を考慮せず、実際に使う分の電気代とすると一番寒い1月、2月で1万5千円前後、暖房を使わない春~秋は5,000円前後です。
電気の基本料金が約2,000円ですから、実質3,000円分しか使っていないことになります。一番電気を使っているのはエコキュートと炊飯ジャーだろうと思っており、更に削減できないか検討しています。
給湯の補助エネルギーとして灯油も使っていますが、こちらはほとんど使っていません。
機械は1階の機械室に設置しているので、とても楽です。
定期的に掃除機で金属素子に着いたホコリを吸い取る程度です。
フィルタは、仙台という土地柄汚れが比較的早く進むので、半年で交換しています。
太陽集熱はとてもお薦めです。
我が家は太陽光発電と太陽集熱の両方を設置しましたが、エネルギーの利用効率の面から考えると太陽集熱の方がはるかに優位です。
太陽光発電は太陽エネルギーの10%程度しか利用できないのに対し、太陽集熱は40%以上のエネルギーを利用可能と言われているそうです。
太陽集熱で集めたエネルギーを給湯に使うのも良し、暖房に使うのも良し、地域や立地条件に応じて最適な方法を考えることで、住宅性能を最大限に活かした省エネ住宅が実現できると思いますし、長い目で見るとコスト減になると思います。